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組織開発(教育制度との違い)

組織開発とは、組織力を高めるための理論や手法のことを指し、組織のメンバーの関係性や組織としての意思決定プロセスや業務プロセスの改善、組織効率を高めるためのメンバー個々の態度変容などを図ることです。組織力をたかめるためには、まずは強い組織のイメージと自らの役割をメンバーが共有化することが重要ですが、それだけなら教育制度の階層別研修の中で実施すれば十分です。組織開発は、組織そのものに焦点をあてることになります。

組織開発と教育制度の違い

人材開発のための教育制度は人事制度の一貫として実施するべきものですが、組織開発は組織力強化の必要性に基づき、定期あるいは不定期で実施するものです。組織開発は、研修というよりも、組織課題を解決する過程から組織力強化を図るためのワークショップのようなものです。

組織開発の進め方

組織開発では、組織の問題点、組織メンバーの意識などを診断し、現状とその要因をしっかりと把握しながら、改善のためのマネジメントプロセスをチームで回していきます。組織開発は、研修のように限られた時間の中でカリキュラムを進行させるものではなく、いわゆるTQC活動のようなことをコンサルタントの指導のもとに実施するというイメージです。もちろん外部コンサルタントに頼まず自分たちだけで実施することも可能です。

組織開発へ取り組む場合は、何をいつまでにどのような状態にしたいのか、明確な目標を持つことが大切です。目標を設定することで効果測定もでき、結果として大きな成果を生み出すこともあります。

組織開発の過程で必要な手法を学ぶための研修を組み込むこともありますが、基本は組織単位でミーティングを実施し、現実に職場で起きている事実を把握しながら課題解決を進めていきます。

組織問題解決型研修

組織開発を研修だけで実施しようとするやり方です。研修の中で、職場の課題や問題などについて、うまくできていること、できていないことなどを話し合いながら、解決策を模造紙で発表し、質疑応答をするというやり方です。一般の階層別研修のカリキュラムの中に、このようなセッションを組み込むこともあり、多くの教育機関で取り入れられています。

組織開発は、本来職場において議論するべきものです。ところが研修という現場と離れた空間で議論するために、受講者の感覚にすぎず、事実に基づかない情報での議論になったり、組織開発であるにも関わらず階層別に集まるという矛盾が起きたりします。往々にして組織の不満をぶつけ合うだけのセッションとなりがちで、ディスカッションの末、でてきた提案はできもしない絵にかいた餅になってしまうことがほとんどです。また、総論賛成各論反対、あるいは自分は何もせずにただ会社への要望になってしまうことがあります。

ディスカッションに多くの時間を要し、模造紙に記入する時間も相当かかります。さらにチームごとに発表し、質疑応答の時間を含めると、これだけで半日から1日が潰れてしまいます。ただし、受講生にとっては仕事の不満を話すことによるストレス発散効果があります。このため、研修後の受講生の感想は、言いたいことがいえてすっきりしたなどと評価が高くなる傾向があります。その結果、研修担当者はこの研修に効果があると勘違いしてしまいます。総合的に見て、実質的な効果があまりない研修の進め方だと考えるべきでしょう。

組織開発体験研修

教育研修は主に個人スキルを高めていくことを目的にしていますが、組織開発体験研修は、組織と組織の中における個人の在り方そのものに焦点を当てる研修であり、いわゆる組織開発そのものではありません。組織開発体験研修は、組織開発とはどういうことをいうのか、個人は何をするべきか、組織は何をするべきか、そのやり方を仕事とは別のテーマの課題解決を通して理解することを目的としています。

組織開発体験研修のテーマとして最も効果的であると言われるのが野外競技である歩行ラリーを活用したチームプロセスマネジメント研修でしょう。歩行ラリーというチームで仕事のマネジメントサイクルを回すという疑似成功体験を組織メンバーが共通体験することができますので、組織課題解決を社内で実施する時のトリガーとしても活用できます。

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