研修手法1:グループ討議
研修を組み立てるためのセッションとして、最も代表的な手法がグループ討議です。グループ討議といっても進め方は単一ではなく様々な進め方があります。
1.理解促進討議、
目的
受講生の研修への取り組み姿勢を受身ではなく、主体的なものにすることができます。聴くだけでなく、意見をいう、話し合いをする過程からテーマに対する理解が深まるだけでなく、テーマを自分におきかえることで、職場に戻ってから使うことができます。
討議の進め方
- 学ばせたいテーマについて、簡単な質問あるいはテストを個人で実施します。
- グループで討議をして、グループの回答を作成してもらいます。
- グループ回答と現実の職場での状況について話し合ってもらいます。
- 講師からの回答例の発表と解説によりテーマについての理解を深めます。
注意点
質問およびテストはシンプルでわかりやすいものを選ぶことが大切です。また、受講生が納得できる回答を用意することが重要です。講師の回答や解説に対して受講者が違和感を感じるような質問やテストは避けなければなりません。
2.課題討議、
目的
受講生の研修への取り組み姿勢を受身ではなく、主体的なものにすることができます。グループメンバーの相互のコミュニケーションを通して、それぞれ経験や知識などを刺激し合うことで、テーマに対する理解を深めることができます。
進め方
- あらかじめテーマ(課題)を設定し提示する
- テーマについてグループメンバーで話し合い、意見をまとめる。
- グループの見解を発表し合い、お互いに質疑応答する。
- 講師から各グループへのコメントと一般論の解説
注意点
声の大きいメンバーの意見に影響されたり、声の小さい人が自分の意見を言わなかったり、グループの中での主導権争いがあったり、葛藤を避けるために表面的な議論になってしまうことがあります。抽象的なテーマや参加メンバーでは解決しえないテーマは避けるのが無難でしょう。また階層別研修で組織の問題をテーマにするのも無理があります。
3.ブレスト討議
目的
受講生の研修への取り組み姿勢を受身ではなく、主体的なものにすることができます。グループメンバーの相互のコミュニケーションを通して、それぞれ経験や知識などを刺激し合います。他の討議と違って意見をまとめるのではなく、より多くの情報を洗い出すことで、選択肢の幅を広げることが大切です。
進め方
- あらかじめ(課題)を設定し提示する。
- ブレイン・ストーミング(アイディア発想法)のやり方でできるだけ多くの情報を書き出す。
- 講師によるテーマに対する一般理論を解説し、理解を深める。
注意点
短時間で実施することがポイント、意見をまとめるのではなく、ブレイン・ストーミングと同じでたくさん書き出すことに主眼をおくことが大切です。
4.グループ討議の発表のしかた
グループで討議した結果は、模造紙、ホワイトボード、ワークシート、パソコンに書き出します。研修でよく使われるのが模造紙です。ただし、模造紙の場合、他の方法に比べて記入するための時間が相当かかります。研修における時間の使い方としては無駄な面が多いと思うべきでしょう。 与えられたテーマにもよりますが、A3のワークシートにサインペンで記入する程度で十分に代用できます。
発表のしかたは、グループごとに前に出て発表する方法、発表はせず壁に掲示してお互いに確認し合う方法、グループメンバーをクロスさせて相互に発表しあうなどの方法があります。全体発表、つまり代表者が前に出て、研修の参加者全員の前で発表するようやなり方がもっとも非効率です。組織開発のワークショップで実施する場合を除いては、このような発表のしかたは避けるべきでしょう。